台湾首相、慰安婦問題で「自発的、強制されたどちらのケースもあった」

 台湾行政院の林立院長(首相に相当)は3日、立法院で国民党委員(議員)の質問への答弁で、日本統治下の台湾における従軍慰安婦について「自発的、強制されたどちらのケースもあった」と述べた。

 台湾メディアの三立新聞網などが伝えた。

 

 台湾の国会では3日、政府側が施政方針を説明し、野党となった国民党などが厳しい追及を行った。国民党の費鴻泰議員は、林首相と潘文忠教育部長(教育相)に対して「慰安婦は(女性本人が)自発的になったと思うのか?」と質問した。

 

 潘教育相が言葉に詰まると、林首相は「その問題について、私が回答するがよろしいですか?」と言った上で「自発的になった者もいた。強制された者もいた」との考えを示し「大切なことは歴史資料を用いて詳細な考証を加え、真相を世に示すことだ」と主張した。

 

 費議員は同答弁に怒り、「まさに、中国人の顔に泥を塗ることだ。中国人女性の顔に泥を塗ることだ」と論じた。

 

 林首相は同日夜、国会での答弁について改めて声明を発表した。まず、国会での発言は、「歴史について特に深く理解した上でのものでなかった」、「さまざまな歴史の研究を尊重し、時間をかけて(同問題について)理解したい」と釈明。

 

 その上で、「戦争という悲劇的状況で、慰安婦が仮に強制されてのものだったら、大きな怒りを感じる。多くの慰安婦は強制されてのものだったと考える。自発的なものであっても、経済的な弱さや性の問題で圧迫されてのことだったはずであり、いずれにせよ暗澹たる気持ちになる」と主張した。

 

 林首相は慰安婦問題について、国家暴力が人権を侵害した歴史的な悲劇であり、以前の世代が受けた不当な扱い、心の傷を慰めるために、日本側と積極的に交渉していくと説明した。

 

 **********

 

◆解説◆
 台湾における旧日本軍従軍慰安婦問題については、これまで馬英九前総統らが、積極的に取り組んできた。台湾には慰安婦問題などで日本の歴史を追及する団体も存在する。韓国ほどではないが、台湾でも、同問題が対日感情を悪化させる引き金になることは、十分に考えられる。

 

 国民党は「ひとつの中国」が党是であるので、従軍慰安婦問題などで、台湾において「台湾も日本軍国主義の犠牲になった」との意識が強まることは、政治的な目的にも合致する。

また、3日の立法院における応酬で、費議員が「台湾人女性の顔に泥」ではなく、「中国人女性」と表現したことにも注目したい。

 

 台湾において、日本軍国主義の被害を受けたとの意識が強まることは、中国大陸側との一体感が強まることに通じ、中国大陸側の政治目的にも合致する。慰安婦問題は民進党政権にとって、扱いが相当に難しい問題に進展する可能性がある。(編集担当:如月隼人)

 

関連:

中国政府、慰安婦問題の世界遺産登録を支持 「台湾絡み」の政略の可能性も
「台湾を武力統一せよ」 中国でアンケ、85%以上が強硬論

参考:・更新林全致歉/林全答詢慰安婦 遭藍委嗆「丟中國人的臉」(中国語)