中国の兵員削減が難航か 習近平主席「退役軍人を割り当てられた職場の拒否は認めない」

 新華社によると、北京市内で7日、軍籍離脱者のための新たな職場手配作業についての会議(軍隊転業幹部安置工作会議)が開かれた。同会議では、習近平共産党総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が受け入れ側の職場について「いかなる理由があっても、軍人を幹部として受け入れることを拒絶することは許さない」との言葉が紹介された。

 

 習主席は2015年9月に行った、第二次世界大戦勝利70周年を祝う軍事パレードの場で、兵力233万人の中国軍のうち、30万人を削減すると宣言した。世界に向けてアピールした「平和愛好国」のイメージを崩さないため、兵力削減には力を入れなければならない。

 

 大きな問題になるのが、定年退職前に軍籍を離脱する軍人の職場探しだ。中国では多くの場合、地方政府の公務員として再雇用することになる。

 

 新職場では「幹部」の一員になる。ただし、中国の組織における「幹部」の範囲は日本より広く、いわゆる「ヒラ」以外は幹部の範疇に入る。

 

 現実として、地方政府側が「元軍人」を受け入れることを嫌がるケースがあるとされる。まず、中国では軍人が、社会的に尊敬される存在だ。民間人になることに対して、本人の心の整理がつかない場合があるだけに、職場としては「元軍人」は扱いにくいと言うことになる。

 

 また、ある程度年齢が上になってから、まったく異なる分野の仕事にはなじみにくいものだ。さらに軍側が、「この人物は使いにくい」と判断した者からまず軍籍を離脱させようとすることも想像に難くない。

 

 習主席ははメッセージの中で「軍から配置換えをする作業を極めて重視している。軍から(新職場の)幹部になる者に愛を注ぎ、新たな配置換えのメカニズムを作り、宣伝と与論形成をしっかりと行う。軍人の配置換えの作業を滞りなく完成させる。国防と軍隊の改革を順調に進めるために、強い政策的保障を提供する」などと述べた。

 

 さらに、軍人を民間人に配置換えをすることは複雑な作業として、「いかなる理由があっても、軍人を幹部として受け入れることを拒絶することは許さない。共産党中央の政令を円滑に実現することを確保する」と述べたという。

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◆解説◆
 中国は軍の情報化や高度機械化など、すなわち軍事力の現代化に力を入れている。そのため、習主席が30万人の削減を宣言した15年9月の時点の239万人の兵力はすでに過剰だったとされる。

 

 また、軍事力の現代化のためには、人件費をある程度削減して、兵器や新たな施設などを購入する方が、合理的だ。

 

 つまり、習主席の同発言は、世界に向けてのプラスイメージのアピールと、軍現代化の両方の狙いがあったということになる。

 

 問題は、軍内部からの反発だ。習主席が7日の会議で新たな職場の「受け入れ拒絶は不可」と強調した背景に、再就職問題がネックになり兵力削減が想定より遅れている事情が潜む可能性がある。(編集担当:如月隼人)

 

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【参考】・习近平:关心关爱军转干部 创新安置工作机制 (中国語)