中国が南シナ海問題で危機感強める、在外大使によるフィリピン批判の現地紙寄稿が相次ぐ

 英国とエジプトの有力紙が10日、現地の中国大使による、南シナ海問題でフィリピンを批判する文章を掲載した。

 フィリピンは同問題で国際司法機関である常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に対して提訴しており、同裁判所は近日中に、中国に不利な判断を示すと見られている。

 

 中国メディアの中国日報によると、英国紙「ザ・デーリー・テレグラフ」は11日、劉暁明駐英国大使による「南シナ海での火遊びをやめよ」と題する文章を掲載した。

 

 同文章は冒頭で「英国の皆さんは南シナ海問題について詳しくはご存知ないだろうが、フィリピンの提訴に対して仲裁裁判所が出す結果を中国が受け入れるかどうかは、議論の焦点になっている」と論じた。

 

 さらに、「中国が裁判の結果を受け入れないならば、そのことはルールにもとづく国際秩序を破壊することであり南シナ海の平和と安定に危機をもたらすことだと言う人もいる」とした上で「われわれは絶対にこの種の指摘や叱責に同意しない」と論じた。

 

 文章は残りの部分でフィリピンを「仲裁裁判所を背景に南沙諸島(スプラトリー諸島)の非合法な占拠を、一方的に合法化しようとしている」などと、強く批判した。

 

 また、中国は2006年に国連海洋条約を結んだ際、紛争を(国際司法裁判などで)強制的に解決することを拒絶したと説明。英国など30カ国以上が、同様の声明を発表したと主張。

 

 文章は、「したがって、仲裁裁判所は領土の主権と海洋の境界についての紛争について、取り扱う権限がない」と論じ、「フィリピンは明らかに不合法と知りながら、あえて提訴した。これは典型的な訴訟の乱用だ」と批判した。

 

 中国メディアの中国新聞社によると、エジプト紙「アル・アハラム」も同日付で、宋愛国駐エジプト大使による、同様の論旨の文章を掲載した。

 

 「ザ・デーリー・テレグラフ」は英国における一般紙サイズの新聞としては発行部数が第1位。「アル・アハラム」もエジプトの最有力紙とされている。中国が、仲裁裁判所が自国に不利な判断を示すことで国際的に対中不信感の強まる可能性が高まっていることに、危機感を強めていることは確実だ。

 

 フィリピンでは30日、ロドリゴ・ドゥルテ氏が新大統領に就任し、新政権が発足する。BBCによると、外相就任が決まっているペルフェクト・ヤサイ氏は10日、常設仲裁裁判所が中国に不利な判断を示しても、中国は南シナ海政策で方針を転換ないだろうとの見方を示した上で、裁判所の判決が出る前にフィリピンが中国との交渉に応じる考えはないと話した。(編集担当:如月隼人)

 

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  【参考】・驻英国大使刘晓明在英国《每日电讯报》发表署名文章:《不要在南海玩火》(中国語)


Posted by 如月隼人