交通事故現場で警察官、負傷者の血や吐瀉物にかまわず人工呼吸「まだ体が温かい! 助けるんだ」=中国

 浙江省麗水龍泉市内の道路トンネルで13日午前、自動車が電動自転車を跳ね飛ばす事故が発生した。

 

 

 駆け付けた警察官の官軍さんは、負傷者の口に鮮血や吐瀉物が満ちているのにもかかわらず、ただちに人工呼吸を開始した。中国新聞社が報じた。

 

 官さんは派出所副所長で、ちょうど勤務時間を終えた時だった。そこに、新たな出動要請があった。官副所長は、書き終えたばかりの勤務報告書を投げ捨て、大声で言った。「私も行くぞ!」。次の時間帯の当番だった部下らと、パトカーに乗り出発した。

 

 現場に着くと、官副所長は直ちに道端に倒れている負傷者の様子を見た。すでに意識はない。顔面は蒼白だ。路面には血だまりがあった。口や鼻から鮮血と吐瀉物を出していた。「見るに耐えない凄惨な光景だった」という。

 

 官副所長は負傷者に生体反応がないか確認した。ない。しかし部下に告げた。「まだ体が暖かい。助けるんだ」――。

 

 口の中の吐瀉物を指で掻き出した。それでもまだ、口から血が流れていている。かまわず口をつけ、人工呼吸を開始した。強く胸を押して、心臓マッサージもした。すると再び、口から

吐瀉物が噴出した。官副所長ははかまわず、救命措置を続けた。

 

 周囲には人が集まってきた。うち1人は「あれは私にできませんね。本当ですよ。でもあの警察官はとにかく、助けようとだけ考えて懸命でした」と述べた。

 

 官副所長の制服も顔面も、吐瀉物と血にまみれた。集まった人々からは「もう、死んでいるよ」との声も出た。官副所長はそれでも、救命措置を続けた。30分は続けていたという。

 

 しかし、負傷者に命の兆候が戻ることはなかった。体は徐々に冷たくなっていった。官副所長は無念そうな表情で立ち上がり、犠牲者に深々と一礼した。

 

 後になり、警察官の1人が官副所長に尋ねた。「尻込みしませんでしたか?」と。官副所長は大声で言った。「私は助けなきゃならなかったんだ。人、1人の命だぞ。私が最初に触れた時、あの人の体にはぬくもりがあったんだ」――。
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◆解説◆
 官軍副所長は、救命措置の訓練を受けたことがあり、上記事故でもその経験に沿って人工治療や心臓マッサージを施したという。おそらく、警察職員ということでの訓練受講だったと思われる。

 

 とすれば、鮮血などがある人にマウス・トゥー・マウスの人工呼吸を施した場合、肝炎やHIVなどに感染するリスクがあると知っていたと理解することが自然だ。

 とすれば官副所長は、リスクについても百も承知で、救命したいとの一心で、救命措置を続けたと考えられる。

 

 どの国に生まれ、どのような過程で自我を形成したかにはかかわらず、人とは一般的に我欲と献身的な使命感の間を行きつ戻りつする存在と言えるだろう。ただ、その様態の出現には文化性の差が現れるようだ。中国人の場合、その場その場の行動に、どちらかの側面が極端に具現する傾向が強いように思える。(編集担当:如月隼人)

 

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【参考】・浙江民警为满口鲜血车祸男子做人工呼吸:他还有温度 (中国語)


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Posted by 如月隼人