中国・王毅外相「内政干渉するな」 米ケリー国務長官に抗議 背景にオバマ大統領・ダライ・ラマ会談

 中国政府・外交部(中国外務省)によると、王毅とケリー米国務長官が18日、電話会談を行った。王外相はチベット問題について「米国に対して、中国に対する内政干渉をやめるよう要求する」と述べた。抗議の背景には、オバマ米大統領が15日、ホワイトハウスでダライ・ラマ14世と会談したことがある。

 

 会談ではまず双方が、両国が経済や人の交流で成果を上げていると主張し、今後も関係構築を続けていく考えを確認した。

 

 王外相は続けて「改めて申し上げる。中国はチベットにかかわる問題で、原則の立場(解説参照)がある。米国には、中国に対する内政干渉をやめ、実際の行動で中米関係の対局を維持することを要求する」と述べた。

 

 中国外務省によると、ケリー長官は「米国のチベット問題についての政策に変化はないし、変化することもない。米国はチベットが中国の不可分の一部であることを堅持し、チベット独立は支持しない」と述べたという。

 

 王外相の抗議発言の背景には、オバマ米大統領が15日、ホワイトハウスでダライ・ラマ14世と会談したことがある。オバマ大統領は、中国でチベットの宗教、言語、人権が保護されることを支持すると述べ、ダライ・ラマ14世と中国当局が緊張をやわらげ立場の違いを解決するため、直接対話をすることを期待すると述べた。

 

 中国政府は同会談に対して、「チベット独立派に誤ったメッセージを送る」などとして、取りやめるよう米国に抗議していた。
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◆解説◆
 「原則」の語は、同じ漢字で表記しても日本語と中国語では意味が異なる。日本語で「これは原則だ」と言えば「状況に応じて例外を考えてもよい」との含みになることが多い。

 

 中国で、少なくとも公式の場で「原則」の語を使った場合、「譲歩できない基本的事項」を意味する。日本語としてはむしろ「大原則」に近いか、あるいはそれ以上に厳格なニュアンスだ。

上記記事で王外相が「原則」の語を使ったことは、中国政府はチベット問題では絶対に譲歩しないとの意思表明ということになる。

 

 ダライ・ラマとは、モンゴル語の「ダライ(海)」とチベット語の「ラマ(尊師)」を組み合わせた呼称。16世紀にモンゴル諸部族の最有力者であったアルタン・ハーンが贈った称号に由来する。中国当局やメディアは「ラマ」との尊称を用いず、「ダライ」と“呼び捨て”にすることが一般的だ。

 

 胡錦濤政権下の一時期には、中国側がチベット亡命政府との会談を何度か行った。当時は「ダライ・ラマ」と呼ぶことが多かった。その後に会談が途絶えると、「ダライ」との言い方に戻った。

 

 習近平国家主席の父親で国家副主席などを務めた習仲勲氏はダライ・ラマ14世と親交が深かった。互いに強い信頼関係があったとされる。習仲勲氏が文化大革命で失脚した理由の1つがダライ・ラマ14世との関係だった。

 

 ダライ・ラマ14世は習仲勲氏に高級腕時計を贈り、習氏も愛用していたという。

 

 習近平国家主席が就任前、公開の場で「ダライ・ラマが贈った時計」を着用していたとして、亡命チベット人の周囲から、「チベット問題に積極的に取り組みたいとのメッセージではないか」との期待が高まった。しかし習主席は就任後、チベット問題についての新たな取り組みを示していない。(編集担当:如月隼人)

 

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【参考】・王毅同美国国务卿克里通电话(中国語)