南シナ海問題で60カ国が中国支持 豪語したはずが「本当は8カ国」との指摘に「数え方にはいろいろ」

 中国外交部(中国外務省)の華春瑩報道官は21日の定例記者会見で、南シナ海の領有権と権利の争いで、報道官がいったんは「60カ国近くが中国を支持」との中国国内報道を受け入れて説明したことについて、米ウォールストリートジャーナルが「8カ国だけ」と報じたことについて質問を受けると、数え方はさまざまとの見方を主張した。

 中国中央電視台(中国中央テレビ)がウェブサイトで14日、南シナ海の問題で全世界の60カ国近くが中国を支持していると報じた。同日の外交部定例記者会見に臨んだ陸慷報道官は、「60カ国近くが中国を支持」について中国側の働きかけの結果かと問われると、多くの国が中国の説明に納得し、「あえて発言し、正しい道を支持し、正義の発言をしている」と力強く回答した。

 

 しかし16日の記者会見で、南シナ海問題で中国を支持している「60カ国近く」のリストを示してほしいと求められると、「60カ国」の数字は自らが述べたものではないなどと、釈明した。

21日の記者会見では、米ウォールストリートジャーナルが「中国を支持する立場を示した国は8カ国しかない」との指摘を受けると、華報道官は「西側の媒体は、白を黒と言い含めることがある」と反論。

 

 華報道官は、南シナ海の問題で中国を支持した国は、支持を公開した場合もあり、書面で伝えてきた場合もあり、個人的に伝えてきた場合もあり、報道された場合もされなかった場合もあり、皆さんが見聞きしたケースをすべて合わせれば数十カ国になるはずと主張した。
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◆解説◆
 同問題について、事の是非は別にして、まず感じるのは報道官としての技術的ミスということだ。14日の記者会見の時点で、質問する記者が挙げた「60カ国」という数字に対して陸報道官が「その数は、われわれがまとめたものでない」とひと言釘を刺してから、同問題について中国を支持する国は増えていると主張したなら、その後の記者会見で記者らにここまで追求される事態にはならなかったと想像する。

 

 もう1つ興味深いのは、本日(21日)の記者会見のやり取りのように、中国政府側としては「苦しい釈明」としか思えないやりとりを、政府・外交部が公表していることだ。

 

 中国政府は、情報公開の度合いを高めると、10年以上前から公言している。ウェブサイトでの情報公開は、その重要な手段の1つと意義づけている。

 

 中央政府・外交部も、ウィークデーには連日行っている記者会見の様子を、公式サイトで公開している。しかし実際には、自国側に「極めて都合が悪い」と判断したやりとりは、掲載しないことが多い。

 

 例えば、毎年6月初旬に決まって質問される、1989年の(第2次)天安門事件についての質疑応答は、掲載しない。

 

 「中国支持が60カ国」を安直に前提にしたことで生じた、今回の“どたばた”を公開している中国当局の意図は不明だ。「ある程度は認めてしまった方が傷は浅くなる」との計算が働いている可能性がある。(編集担当:如月隼人)

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【参考】・ 2016年6月21日外交部发言人华春莹主持例行记者会(中国語)