インドネシア大統領が南シナ海・ナトゥナ島を訪問、中国への意思表示か 中国政府「問題は存在する」

 インドネシアのジョコ大統領が23日、南シナ海にあるインドネシア領ナトゥナ諸島を訪問した。同島周辺では、インドネシアが権益を主張する海域で中国漁船が操業することが相次いでいる。インドネシアが拿捕した中国漁船を中国の公船が奪い戻したこともある。中国政府・外交部の華春瑩報道官は同日の定例記者会見で、両国間に海の権益をめぐる問題が存在すると述べた。

 

 ナトゥナ諸島近くの海域では3月、インドネシア当局が同国の排他的経済水域(EEZ)内で違法に操業していたとして、中国漁船を検挙・拿捕したところ、中国公船が体当たりするなどで奪い返す事件が発生した。

 

 インドネシア側が抗議すると、中国側は事件が発生したのはインドネシア領海内ではなく、中国の伝統的な漁場だったと反論した。

 

 それ以降も、中国漁船の操業をめぐるトラブルは続いている。17日にはインドネシア海軍軍艦が、中国漁船に警告射撃をした上で拿捕し、乗組員7人の身柄を拘束した。中国政府は改めて、同海域は「中国の伝統的な漁場」と論じ、発砲により中国人乗組員1人が負傷したとして「武力の乱用だ。厳重に抗議する」と表明した。

 

 23日に同諸島を訪れたジョコ大統領は、軍によるパトロールの強化を指示した。

 

 中国外交部の華報道官は同日の記者会見で、「中国とインドネシアに領土主権をめぐる争議は存在しない。ナトゥナ諸島がインドネシアに帰属することに、中国は異議を持たない。ただし、両国間に南シナ海の一部海域で、海洋の権益が重複する問題が存在するのは事実だ」として、インドネシアが中国と協力的に「漁業をめぐる紛争を打倒に処理し、両国関係の発展という対局と地域の平和と安定を共に維持することを希望する」と述べた。
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◆解説◆
 中国はナトゥナ諸島がインドネシア領であることを認めており、両国に領有権を争いは存在しない。しかし中国は南シナ海に「九段線」と呼ぶ、地図上では中国大陸から「舌」のように南に伸びる線を設け、その内側における――国際的慣行からすれば特異な――自国の権益を主張している。

 

 中国と南シナ海に点在する島の領有権を巡って争っているのはベトナム、フィリピン、マレーシアなどだが、インドネシアはこれまで、領有権の問題については「中立」の姿勢をとってきた。

 

 しかし、海洋の権益問題を巡り中国とインドネシアの対立もエスカレートした場合、中国は問題海域の周辺国を「すべて敵に回す」ことになりかねない状態となる。中国として、同問題で最も避けたいのは、ASEAN(東南アジア諸国連合)全体の、中国に対する反発が強まることだ。

 

 中国が、南シナ海を巡る領有権や海洋権益とは直接関係のない国への優遇を強める可能性がある。中国外交で、「敵の中に友を作る」ことは、伝統的なテクニックのひとつだ。(編集担当:如月隼人)

 

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【参考】・2016年6月23日外交部发言人华春莹主持例行记者会(中国語)