中国政府が北朝鮮を名指しで非難「国際社会の普遍的な反対にも関わらず、核実験を行った」

中国政府・外交部の華春瑩報道官は9日の記者会見で、同日午前に核実験を行った北朝鮮を名指しで「国際社会の普遍的な反対にも関わらず、5回目の核実験を行った」などと非難した。

華報道官は、「われわれは北朝鮮が(過去に認めた)非核化への承諾を守り、国連安保理の関連決議を順守し、事態を悪化する行動を停止するよう、強烈に促す」などと述べた。

ただし一方では、はっきりとした主語を用いず「自分の利益だけから出発した、いかなる一方的な行動も袋小路に陥るだけだ」と、米国と韓国が計画している韓国への最新式弾道弾迎撃ミサイルシステムのTHEED(サード)配備にも反発する姿勢を示した。

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◆解説◆
中国の「外交感覚」を理解する上で、不可欠なキーワードがある。「危機感」だ。中国の外から見えれば、拡張を続ける中国の動向は不気味であり、腹立たしい面も多いが、現在の中国人の感覚の根底にあるのは「下手をしたら清朝末期から民国時代のように、列強(現在、主に念頭にあるのは米国)に思うがままにされる国に退行しかねない」という漠然とした意識だ。

朝鮮半島問題についても、北朝鮮が滅んでしまう、つまり米韓主導で統一が実現すれば、「米軍が中朝国境まで進出して、中国ににらみをきかせる」ことが、中国共産党や軍部にとっての「悪夢のシナリオ」になっている。

さらに、仮にそのような事態になれば、これまでの中国外交に対する国民の不信感は極度に高まると考えねばならない。つまり中国共産党にとっては、自分のメンツがつぶれるような朝鮮半島の変化は受け入れられない。

したがって、中国は北朝鮮が「存亡の危機」に陥ることは絶対に避けたい。逆に、北朝鮮は中国のそんな「足元」を見ているので、中国にとって「はらわたが煮えくり返る」ような挑発行為を繰り返している。

北朝鮮が今年(2016年)1月に核実験を行った際に、中国はこれまで以上に強い制裁を取った。ただし、中国の対北朝鮮制裁は、実際には「ザル」だったとの見方も根強い。

今後の中国の出方だが、北朝鮮当局を「真に困らせる」方策に出る可能性はある。ただその場合に見逃せないのが、南シナ海問題などを巡って、中国外交自身がかなりの苦境にあることだ。中国が日米韓などの主張にさらに歩み寄って対北朝鮮制裁をさらに本格的にする場合、取引材料として南シナ海問題、さらには尖閣問題や台湾問題などで、日米などに対して「譲歩」を求めると考えた方がよい。(編集担当:如月隼人)

 

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