北朝鮮軍「ソウルに懲罰の核爆弾を発射」、「グァムを地球上から消す」・・・状況困難も強気を貫く

北朝鮮は9日に核実験を実施したことで、国際社会からの孤立が一層際立つ状況に至ったが、国営メディアなどにおける主張で、これまで以上に強硬な傾向が強まっている。

同国中央通訊は22日付で、「朝鮮人民軍総参謀部の代弁人 米国と南朝鮮かいらいの反共和国挑発妄動を正義の軍事的報復打撃で粉砕する」と題する記事を発表。同記事は「われわれが発射する懲罰の核爆弾は、青瓦台と反動統治機関が集中している同族対決の牙城であるソウルを完全に灰燼」にするなど、韓国に対する核攻撃を明言。

さらに「もし、米帝がB1Bなどを引き続きわが上空に投入して軍事的挑発の危険度を高めるなら」として、「われわれは挑発の本拠地であるグアムを完全に地球上からなくしてしまうであろう」と、米グァム基地への核攻撃も示唆した。

同国メディアは、米軍の朝鮮半島へのB1B派遣に対する反発を繰り返し表明している。B1Bの派遣に対して同国が神経質になっていることが浮き彫りだ。

同国・労働新聞は24日付で改めて、「れわれの核爆弾が発射されるその瞬間、青瓦台と反動統治機関が集中している同族対決の牙城であるソウルが完全に灰燼(じん)と化するのは言うまでもなく、かいらいがそれほど救世主のように信じている米国も無事ではない」と、米韓への核攻撃を示唆した。

労働新聞は同日、「米国がせん滅的打撃を避けられる道は自重、自粛だけ」と主張する論説も掲載。「米国がせん滅的打撃を避けられる道は、われわれの尊厳と安全を侵害せず、自重、自粛することだけである」と主張した。

一連の報道を見ると、北朝鮮は自国の核実験などにより、米韓日との対立が先鋭化することを、織り込み済みだったようにみえる。と同時に、「それでも、大丈夫」との計算をしていたと考えてよい。

北朝鮮が最も頼みとしていることは言うまでもなく「中国は結局のところ、わが国を見放すことができない」との基本認識だ。実際、中国は北朝鮮の強硬策に対して“はらわたが煮えくり返る”ような思いをしつつ、北朝鮮が崩壊した際の「米軍が中朝国境まで進出」との事態は受け入れられず、北朝鮮への「最低限の肩入れ」は続けていると理解できる。

北朝鮮は瀬戸際外交を、今後しばらくは続ける腹づもりと推察せざるをえない。彼らの目的はなにか。金正恩(キム・ジョンウン)政権の願いは、体制の生き残りに絞られているとみてよいだろう。そして、日本や韓国、米国にとって難しいのは、同国を追い詰めることが最終目的ではないということだ。

必要なことは、北朝鮮の発想を変換させることだ。そして、日米韓など、いわゆる西側諸国の国益に近づけることだ。

現状では、柔軟策の有効性は説得力を失ったようにみえる。しかし、対北朝鮮政策が憤りなどだけに先導されてしまったら、最も重要な「自国の国益最重視」の大原則に反することになりかねない。

今、日本などにとって必要なのは、北朝鮮首脳部の考えを、どのように変化させるということだ。最大限度の強硬策も視野に入れねばならないことはもちろんだ。ただ、選択する方法の結果と確度については、可能な限り冷静な「見積もり」が必要だ。

加えて大きな問題は、北朝鮮の「死生を握る」と言ってよい、中国をどう“導くか”ということだ。中国との関係については、南シナ海問題などもあり、中国が北朝鮮問題とそれらの問題を絡めて、自国の国益を最大限に導こうと動くことは間違いない。それだけに、朝鮮半島問題について、中国に対して「どこを押せて、どこは押せないか」、「どこは引くべきで、どこは引けない」という判断の重要性が、これまでになく高まっていると言える。(編集担当:如月隼人)

 

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