中国報道官「中国は核実験禁止条約に最も早く署名した国だ」と強調  国連安保理の「批准すべき」「と

国連安全保障理事会は23日、米国、中国、北朝鮮などに包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を求める決議を採択した。中国政府・外交部の耿爽報道官は26日の定例記者会見で関連質問を受け、「中国は核実験禁止条約に最も早く署名した国だ」と強調した。

耿報道官は安保理決議について、CTBTの署名が始まって20年が経過し「核実験禁止は国際社会の共通認識だ。安保理の決議は、条約が早く実効力を持つために積極的な意義をもつ」と説明。

その上で「中国は一貫して、核兵器の全面禁止と徹底的廃棄を提唱してきた。核兵器の先制不使用を遵守しつづけ、核兵器を持たない国と地域には、いかなる場合でも核兵器による威嚇を行わないことを約束してきた」と主張。

そして、「中国はCTBTに最も早く署名した国のひとつだ。条約の精神と目標を一貫して守っており、核実験を当面は行わないとの約束を守っている。中国は国際社会とともに、条約が実効力を持つ日が早く来ることを願っている」と述べた。

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◆解説◆
2国間条約であれ、多国間条約であれ、まずは全権代表が署名し、その後、国内で条約締結を認める批准の手続きを行う。議会制民主主義を採用する国では、国会が条約の批准に関与している場合が多く、条約に署名しても批准できない場合が発生することがある。

逆に言えば批准とは、時の政権が条約を締結するが、国内で承認を得られなければ、実行はできないとの含みを残すためにあるとも言える。政権が締結しても「国内世論をまとめられなければ、やむをえない」とのいわば“逃げ道”を残しておくことで、相手側が「約束を破った」という理由で、国際関係の混乱を発生させないための、一種の知恵とも言える。

ただ、不思議なのは、共産党上層部の意思で政策を決定できる中国がCTBTについて「署名はすれど批准せず」の状態が長期にわたって続いていることだ。

CTBTが国連で採択されたのは1996年9月で、中国が署名したのは同年同月24日だ。「最も早く署名した国のひとつ」という耿報道官の説明に間違いはない。しかし耿報道官は、中国のような体制の国で、長期間にわたり批准を行っていないことの説明を避けた。

中国がCTBTの批准を行っていない理由としては、「署名はしたが、共産党や軍の上層部に意見の対立があり、まとめきれない」という事態か「署名はみせかけ。ポーズだけを示した」という状況しか考えにくい。

中国が「核の先制不使用」を唱え続けてきたことも事実だ。道義性を強調して、核兵器保有に対する批判を避ける狙いがある宣言だが、現実面としては、核兵器を持つようになっても、米ソの核兵器では質・量ともに比較にならないほど劣っており、「先制使用をしたとたん、逆に核の“袋叩き”になる」との認識があったとされる。

しかし中国は2012年版の国防白書では、それまで明記していた「核の先制不使用」の文言を、ややあいまいな言い方に変更した。「核の先制不使用の宣言を放棄した」とまでは言えないが、「先制不使用」を明言することの得失についての異なる意見が存在するとは考えてよいだろう。

国連安保理のCTBTの批准を求める決議は、核兵器の廃絶を願うオバマ大統領が、自国議会に対しての圧力をかけようとの「政治術」の賜物だったとされる。しかし、この時期に採択されたことは、多くの人の脳裏に北朝鮮の核実験があったことも関係しているとみなすのが自然だ。

中国にとって北朝鮮の核実験は「わが国の、さまざまな立場を悪くする」と、極めて腹立たしい行為であることは、間違いない。23日の安保理決議で、中国が拒否権を発動しなかったことには、「この問題で注目されるのは得策ではない」との計算が働いていると理解できる。(編集担当:如月隼人)

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